恐怖の引っ越し
今週のお題「怖い話」
私が東京のシェアハウスに住んでいたときのお話。
シェアハウスは、とあるアパートの一室。
エントランスを通り一度外に出て、一番奥の部屋が問題の部屋である。
間取りは、2LDKだが、6人が同居できるようにセパレートされている。
ちなみに、セパレートにより部屋が2種類に分けられている。、共有スペースなどは一緒だが、プライベートが確保されている部屋が2つ。2段ベットが2つあり、4人で住む部屋が1つである。
もちろん前者と後者は価格が2倍違う。
私が住んでいたのは後者。当時は金がなかったので少しでも安い住家を求めていた。
都心の駅チカ。雑魚寝でも月3万円で水道、電気代込みである。
部屋を見学に行った際は、住人と出会えずどんな人が住んでいるかは、わからなかった。
しかし、部屋の空きは一つ。部屋というかベッドが一つである。職場からも近い場所にある物件は軒並み高いので、空いている内にと思いその場で契約した。
荷物をまとめていざ、引っ越しだ!!!!!
安いとはいえ、ある番組で少しブームになっていたシェアハウス。
呼び鈴を鳴らし、扉が開くのを待つ間、様々なことを考えた。
私も男である。ましてや絶賛彼女募集中の身。
期待と希望で胸をパンパンに膨らませ、今にも破裂しそうな勢いである。
そして・・・・・・・「ガチャッ」という音と共に扉が開く。
「どうぞ!」
視覚より先に聴覚がデータを脳に送信する。
「めっちゃ低い声だな・・・・」と思ったその時、
視覚にも情報が飛び込んできた!
「お。髪型はベリーベリーショートでメガネをかけているのか・・」
「体型は妊娠6ヶ月ぐらいの妊婦・・・」
「腕には熱帯雨林のように木々が生い茂り・・・・・」
いや・・・・・・・・・・
おっさんやないかーーーーーーい!!!!
メガネかけで中年太りでハゲかけの
おっさんやないかーーーーーーい!!!!
若干の喪失感に襲われたが、冷静に考えれば一人ぐらいおっさんがいて不思議ではない。
どうやら新しい同居人を歓迎するため、リビングで住民全員が待ってくれているらしく、おっさんは私をリビングに案内してくれた。
リビングまでは10歩。
一度は絶望しかけた心が、一歩、また一歩と踏み出す度に蘇って来る。
リビングに到着しテーブルに目をやった私に、やさしく微笑みかけてくる4人の同居人。
その瞬間、体が反射的に反応し、目をこする。
「あれ?・・・デジャブか?・・・・・・・・・・」
さっき見たような見た目の人間が4人・・・・・・。
目をこする手に拍車がかかりとまらない。
もうおわかりいただけただろうか?
そう。そこには想像絶する恐怖の光景が待ち構えていたのである。
その光景を目の当たりにした私は、思わずこう叫んでしまった・・・・
全員!おっさんやないかーーーーい!!!
ルネサーーーーーーーンス!!!!
叫ばずにはいられなかったのである。
40代のおっさんと共に過ごすこれからの日々を思うと、
恐怖するしかなかった・・・・・・・・・。
みなさんもシェアハウスを探す気をつけていただきたい。
仕事終わりのビールがやめられない悪魔が、お腹に妖力を溜め、
不適な笑みを浮かべて待ち構えているかもしれません・・・・・・・・・
次に会うのはあなたかもしれない。